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建築&遺跡1 星と大地と古代遺跡

2011年09月13日 00:03

※本記事は加筆修正して下記にアップしました。
 リンクを参照ください。



世界遺産と建築 1.星と大地と古代遺跡 ~恒星・惑星・衛星の基礎知識~




今宵は中秋。
しかも満月。
秋分前なれど空はすでに秋。
宙は高く空気は晴れやかで月がとても気持ちよさそうに泳いでいる。

 月月に 月見る月は 多けれど
       月見る月は この月の月 (詠み人知らず)

そしてその様はこれ。
満月より三日月の方が似合うとは思うけれど。

 天の海に 雲の波立ち 月の船
        星の林に 漕ぎ隠る見ゆ (柿本人麻呂)

小さな頃、毎日のように星や月を眺めていた。
あの頃を思い出す。
太陽も月も恒星も惑星も、星たちはずいぶんいろんなことを教えてくれた。

たとえば古代遺跡には東西南北を強く意識したものが多い。
ピラミッド、マチュピチュ、ストーンヘンジ、チチェンイッツァ等々、古代遺跡はむしろ東西南北を気にしていないものの方が少ないのではないか。
また、たとえば教会や聖堂はたいてい十字架型の上を東、下を西に向けているし、仏教のお寺では正門を南大門ということがあるように、宗教建造物はやはり方角を強く意識している。
その理由も星々を眺めているとよーくわかる。

そもそも東西南北ってなんなんだろう?

大地から昇る星々は徐々に徐々に高くなってゆき、どの星も決まってある方向でもっとも高くなる。
これを南中という。
そのまったく反対方向を振り返ると、星々はある星を中心に反時計回りに回っている。
この星を北極星という。
南中する方角と北極星のある方角は自分を中心に180度真逆に位置し、天も地も、この面で見事に真っ二つに分割される。
ここから、南と北は何かとても特殊な方角であると考えられるようになった。
それをさらに90度ずつ切り分けて、星が昇る方角を東、星が落ちる方角を西と定め、東西南北が確定する。

電気もガスもなく、動物や侵略者から身を守る強力な政府も城壁も武器もなかった時代、夜は恐怖の時間だったろう。
太陽が生まれる方向は活気あふれる命の土地、太陽が落ちる方向は恐ろしい死の土地と考えられるようになったとしても不思議はない。
こうして多くの地方で東は清浄なる方角とされ、対して西は不浄なる方角と定められた。
エジプト文明ではナイル西岸を死者の街=ネクロポリスと呼び、メソ・アメリカのマヤ文明では西は冥界の方角とされ、インドの聖地バラナシ(ベナレス)でもガンジス西岸は不浄の地と呼ばれている。

わかる、わかるよ。
星を眺めていると本当に共感できる。
いつの時代、どこに住む人も、みんな同じことを感じ、同じことを考えていたのだ。

月の歩みも同様だ。
真っ黒な新月は15日かけて少しずつ明るさを増し、15日目に満月となる。
そしてその満月はやはり15日かけて少しずつ明るさを減じ、15日目に新月となる。
三日月というのは新月からはじまって3日目の月を示し、満月は15日目の月だから十五夜という。
この30日のサイクルに何か大きな不思議があるのではないかと考えて、「ひと月=30日」という概念が生まれる。
太陰暦だ。

そして新月はだいたい午前6時頃東の空を昇りはじめ、午後6時頃西の空に沈む。
一方、満月はだいたい午後6時頃東の空を昇りはじめ、午前6時頃西の空に沈む。
月は明るくなったり暗くなったりすると同時に、少しずつ昇る時間、沈む時間をずらしていく。
そしてこのズレと同期するように海の満ち引きの時間もズレていき、特に新月と満月になるともっとも干満の差が大きくなる。
これを大潮という。
天の歩みが大地にも影響するこの不思議!

さらに、太陽を観察していくと、太陽は寒い季節には低く歩み、暑い季節には高く舞い上がることに気づく。
もっとも高く昇った太陽がふたたびその位置に戻るまでには月の満ち欠け12回分を必要とする。
これを1年と呼ぶ。
太陽暦だ。
そして1年は月に合わせて12か月に区切られることになり、太陽がもっとも高く昇る日は夏至、もっとも低く昇る日は冬至、その中間は春分・秋分と呼ばれるようになる。
天の歩みが季節にさえも影響するこの神秘!
そして人も動植物も季節によって行動を変え、季節ごとに与えられる幸でもって命をつなぐ。

星々と大地と方角はこのように世界の謎と密接に関係している。
そしてそれらの恵みや災いによって生命は笑いもすれば泣きもする。
神秘=神であり、その神を祀る古代遺跡が方角にこだわるのは当たり前の話なのだ。

小さな頃から星を眺め続けてきたぼくにとって、古代遺跡の神秘性は少しもオカルト的な怪談ではない。
それは全人類に共通するとても素朴な思い、神秘に対する単純な畏敬の気持ちの表れなのだ。

だからぼくは今夜も星や月を見て、星々と大地の神秘に触れると同時に、時を超え空間を越えて、古代遺跡を作った人々と素朴な気持ちを分かち合う。
天・地・人と一体化する。

乾杯!
星々に、大地に、そして人類に。