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恋する世界遺産13 クメールの微笑み アンコール

2011年08月09日 23:23

1860年、昆虫採集のためにカンボジアを訪れたフランス人博物学者アンリ・ムオーは、現地の人々から幻の都の伝説を聞く。
「ジャングルの中に、巨人が建造して呪いをかけた幻の石造都市がある」
ムオーは仕事もそっちのけで探索に向かい、ついに遺跡を発見する。
そこに広がっていたのは一辺3kmに及ぶアンコール・トムをはじめ、アンコール・ワットやタ・プロームなど、無数の寺院や宮殿からなる巨大都市アンコールだった。

世界を渡り歩いたムオーだったがこう驚愕したという。
「この遺跡はこの世でもっとも美しい」

angkor1.jpg
アンコール・ワット

広大な遺跡群の敷地内にはたくさんの村が点在している。
遺跡をテクテク歩いていると、そんな村の子供たちが歓声を上げてやってくる。
手にはカゴ一杯のアクセサリー。

「安いよ、安い!」
「高いよ」
「高くないよ、安い安い! ジャパニ、買って!」

angkor2.jpg
タ・プローム

これを売らないと生きていけない――そんな悲痛な顔をして迫ってくるのだが、何も買わなくても別れ際には、「お兄さん、バイバイ!」と満面の笑み。

のんびり堀を眺めていると、今度は水牛を追う子供たち。
水牛の背中に乗るとそのまま水上都市アンコールの堀を渡っていく。
こちらをチラと眺めると、また満面の笑み。

廃墟となった寺院をブラブラしていると、どこからともなくお香の香り。
香りに誘われて近づくと、小さな祠の中に金や赤で染め抜かれた美しい衣服を着た仏像と、花やお香を捧げているご老人。
こちらを見るとやっぱりそこにはアルカイック・スマイル。

angkor4.jpg
アンコール・トムのバイヨン寺院

アンコール・トムのバイヨン寺院には観世音菩薩が彫り込まれた四面塔が立ち並んでおり、その柔和な顔は「クメールの微笑み」と呼ばれている。
クメール人の建てた王国は15世紀に滅び、やがてジャングルに飲み込まれて忘れ去られてしまったが、その微笑みはいまもクメールの末裔たちに引き継がれている。

微笑みの国、クメール。
この世界遺産に似合うのは、幸せいっぱいの微笑みなのだ。

angkor3.jpg



国名:カンボジア王国
名称:アンコール
   Angkor
登録:1992年
基準:文化遺産(i)(ii)(iii)(iv)
概要:クメール人が建国したアンコールは802年から1431年に栄えた王朝で、全盛期はタイ、カンボジア、ベトナム、ラオスの多くを版図に収めた。仏教やヒンドゥー教の教えを美術化したクメール美術は東南アジア全域に影響を与えた。アンコール遺跡は60以上からなる遺跡群で、精緻さと規模を兼ね備えた稀有な世界遺産として知られている。

※本記事は『intro.G』に連載された「二人で行きたい世界遺産」のテキストです

アンコール/カンボジア(All About「世界遺産」)

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