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恋する世界遺産12 天空の城 マチュピチュ

2011年03月24日 12:34

スペイン語で「温かい水」を意味する温泉の街アグアスカリエンテス。
この小さな街を早朝4時に出て、標高2,375mの峰を目指して登りはじめる。
周囲は5m先も見えない闇と霧。
まとわりつくような霧は木の葉に朝露をもたらし、朝露は大地に落ちて山道を湿らせ、靴を滑らせる。
森を一直線に駆け上がる登山道の足場は悪く、標高のためか呼吸も辛い。
なんとか山を登り切り、いよいよマチュピチュのゲートをくぐる。

でも、周囲は相変わらずの霧、霧、霧。
日の出が近づいているのか、周囲は薄っすら明るくなって、闇は黒からグレーへとその色を変える。

しばらく歩いていると石垣が現れて、白人観光客が腰を下ろして休んでいる。
今日はもう無理なのだろう。
半ば観光をあきらめて、隣の石垣に腰掛ける。

辺りはさらに明るさを増し、綿のような白に包まれる。
そのとき――

machu.jpg

前方に朝日を受けたワイナピチュ山頂が姿を現すと、霧は一気に消え去って、いきなりマチュピチュの絶景が登場した。
静寂の中で全身が震えた。

そしてワンテンポ遅れて周囲から大歓声。
石垣で休んでいた白人も立ち上がり、手を叩いて喝采している。
その場にいたすべての人間が同じ感覚を共有した。
だからみんなで抱き合い、握手した。

 * * *

その遺跡があるのは山頂と山頂をつなぐ峰。
平野でもなく、かといって山頂でもない。
周囲から隔絶された断崖の上にあり、川からは遠く離れ、水の確保も困難に思われるそんな場所に、どうしてインカの人々はこれほどの都市を建設したのだろう?

唐突だが、なぜ人類は世界遺産を守らなくてはならないのだろうか?
この問いに世界遺産条約はこう答える。
そこには国や性別、人種、民族、文化、時代を超えた「普遍的価値がある」からだ。

ふたつの疑問の答えはきっと同じ。
早朝のマチュピチュがそう教えてくれる。

いつまでも変わらぬ普遍な想い。
何よりも分かち合いたい大切な想い。
マチュピチュはそんな想いをやさしく語りかける。



国名:ペルー共和国
名称:マチュピチュの歴史保護区
Historic Sanctuary of Machu Picchu
登録:1983年
基準:文化遺産(ii)(iii)、自然遺産(vii)(ix)
概要:1911年、幻の都ビルカバンバ捜索中に、アメリカ・エール大学の教授ハイラム・ビンガムが発見した遺跡。15~16世紀に建てられたインカ王パチャクティの離宮と考えられており、約200もの建物が立ち並んでいる。世界遺産としてはその驚異的な自然景観と生態系も評価され、世界に28しかない複合遺産としてリストに登録されている。

※本記事は『intro.G』に連載された「二人で行きたい世界遺産」のテキストです

マチュピチュの歴史保護区/ペルー(All About「世界遺産」)

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