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恋する世界遺産9 愛は死を超えて 麗江

2010年10月22日 09:05

ナシ族の人々は空や大地の神々を敬い、勤勉に働きながらも自由を愛し、「蟻ほど勤勉に働き、蝶のように楽しく暮らす」と称されるほど朗らかに日々を送っていた。
その心は青天白日。
彼らが暮らす麗江は街もまた青い。
標高5,596mを誇る玉龍雪山は万年雪を青白く輝かせ、流れ出る雪解け水は青空を照らして澄みわたり、家々の屋根は青銀の本瓦葺き、そして人々は青の民族衣装を身にまとう。
そのナシ族が最も大切にしていたのが自由恋愛だ。

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麗江の玉泉公園。背後の山々が玉龍雪山

古来ナシ族は子供を産み、命をつなぐ女性を称え、母系社会を築いていた。
争いを好まず、周辺諸民族や中央政府とも融和した。
ところが、政府はやがて漢化政策を促進し、ナシ族独自の文化を否定。
言葉はもちろん、あらゆる生活習慣の漢化を要求し、自由恋愛まで禁止してしまう。

別れを余儀なくされた恋人たちは玉龍雪山の麓に集まり、天国でも地獄でもない「第三国」で永遠に共に暮らすため、そろって命を絶った。
やがて男女の魂は精霊となり、虎に乗って飛び回り、白い鹿で畑を耕しているのだという。

こんな噂が人々の間に伝えられていくが、政府はこうした物語さえも禁じてしまう。
恋の物語は現存する世界唯一の象形文字「トンパ文字」によって封印され、伝説として残された。

ナシ族の文化は滅んでしまったか?

reiko2.jpg
1,000以上の家が軒を連ね、石畳と水路が巡っている。青銀に輝く屋根瓦が特産品

中国の街は城壁に囲まれているのが一般的だが、麗江の街にはいまだ城壁がない。
街を歩いていると青の民族衣装を身に着けた人々の姿をあちこちで見かける。
文化とは生活そのもの。
恋と自由を愛したナシ族の心意気は、青の街並みと共に脈々と息づいている。

ジェームス・ヒルトンの小説『失われた地平線』に描かれた理想郷=シャングリラ。
美しい自然と平和な山村、愛し合いながら暮らす人々。
麗江一帯こそ永遠の楽園・シャングリラなのではないかと伝えられている。



国名:中華人民共和国
名称:麗江旧市街
Old Town of Lijiang
登録:1997年
基準:文化遺産(ii)(iv)(v)
概要:麗江(れいこう/リージャン)は雲南省の古都で、主にナシ族が建てた街。人々は自然信仰に仏教や道教の影響を加えたトンパ教を信仰し、僧は経典保存のために象形文字トンパを使用する。背後にそびえる玉龍雪山の雪解け水は水路によって街の隅々まで送られ、人々の生活を支えると同時に300以上ある橋が独特の景観を生み出している。

※本記事は『intro.G』に連載された「二人で行きたい世界遺産」のテキストです

麗江旧市街/中国(All About「世界遺産」)

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