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恋する世界遺産3 おとぎの国 ラポニアン・エリア

2010年04月14日 15:45

宇宙に舞う生き物のように、星の光にたなびく天衣のように、刻一刻と姿を変える光のダンス、オーロラ。
orora.jpg

サンタクロースが住むというスカンジナビア半島の北極圏はラップ・ランドと呼ばれ、夏は太陽が一日中沈まない白夜、冬は多彩な色のオーロラが舞うという奇跡的な環境の中で、サーメ人たちが太古の昔からトナカイと共に暮してきた。
サーメ人にはオーロラにまつわるこんな伝説がある。

 * * *

昔々、ラップ・ランドにマレッタという少女がいた。
黒髪が美しいマレッタに惹かれたふたりの若者オウラとアスラックは、ついにマレッタに求婚をする。
マレッタの父サンメリは「より美しい布を持ってきた者に娘をわたす」とふたりを市場へと送り出す。

マレッタは自分を理解してくれる別の男を愛していたが、父は貧しい彼との結婚を許さない。
オウラとアスラックとも話してみるが、わがままで自分をわかってくれない。
困ったマレッタは魔法の鳥クーケリに助けを求める。

オウラは市場で美しい布を手に入れるが、アスラックはサーメ人の守り神セイタに頼んで布を白樺の皮に変えてしまう。
アスラックが美しい布を手に入れるとこんどはオウラが妨害し……こんな争いを三度繰り返し、ふたりはまたセイタの元を訪れる。
ここに現れたクーケリが歌う。

少女の言葉を聞いてくれ――
少女は布なんてほしくない――
少女がほしいのは
ただ愛、それひとつ――

マレッタの想いに打たれたセイタはふたりを空の彼方に飛ばしてしまう。
美しい布は時々星に引っかかり、オーロラとなって夜空を彩るのだという。

 * * *

冬の最低気温は-40度を超えるラップ・ランド。
サーメ人がこの極寒の地に住み続けてきた理由は、人々が愛してやまないこの奇跡的な自然と、そんな人々がつむぎ上げるこんな温かな心意気のせいかもしれない。

マレッタがその後どうなったかって?
おとぎ話の結末はこうでなきゃいけない。

「マレッタは愛する男性と結ばれて、オーロラの下で幸せに暮らしましたとさ」



国名:スウェーデン
名称:ラポニアン・エリア
Laponian Area
登録:1996年
基準:文化遺産(iii)(v)、自然遺産(vii)(viii)(ix)
概要:5,000年以上前からサーメ人(ラップ人)がトナカイの放牧生活を行うラップ・ランドのうち、氷河や湿地、タイガなど手つかずの自然が残るスウェーデンの一部が登録された。北極圏に暮すサーメ人独自の文化と特異な生態系、美しい自然が評価され、世界に25件しかない複合遺産となっている。

※本記事は『intro.G』に連載された「二人で行きたい世界遺産」のテキストです

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