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エッセイ2 キリマンジャロ・コーヒー

2007年01月04日 00:00

朝5時。
モシのホテルの最上階で空を眺めていた。
満天の星空の一部にポッカリと穴が開いている。
空が白みはじめると、水墨画のような淡い稜線が少しずつ姿を現す。
空は黒から赤へとグラデートをはじめ、墨色が原生林の深い緑に着替えだす。
雪に覆われた山頂が朝日をいち早く受けてダイヤモンドのように輝いている。
キリマンジャロ――スワヒリ語で「輝ける山」。
モシはキリマンジャロ登山やセレンゲティへのサファリの起点になる小さな街だ。
でも、3週間ほど前にマラリアを発症したこともあって、ここで静養することに決めた。
キリマンジャロと言えばコーヒーだ。
コーヒーを優雅に飲んで毎日山を眺めよう。
どこでいちばんうまいキリマンジャロが飲めるか考えて、コーヒー園だと気がついた。
すぐ近くのマラング村には巨大なコーヒー園があると聞いたので、さっそく行ってみることにした。

バス停ではダラダラと呼ばれる乗り合いバスに乗った若者が景気よく声をかけてくる。
「チン、ジャンボ!(こんにちは)」
「ああ、ジャンボ」。

アジア人はみんなチン=中国人らしい。
日本の救急車に乗っている男もいる。
車のサイドには日本語で「○○市消防局」。
よく見ると「××幼稚園」とか「△△自動車学校」なんて車も。

ダラダラがマラング村に到着する。
辺り一面コーヒー園。
醤油のようなすえた香りが漂ってくる。
見上げればキリマンジャロ。
いい感じだ。

喫茶店を探して歩く。
ところが店どころか家もポツリポツリとしかない。
レストランを見つけたので聞いてみた。
「コーヒーある?」
「ネスカフェならあるよ」
結局1日中歩き回ってもコーヒーはなかった。
モシでもあちこちで聞きまくったが、やはり答えは「ネスカフェなら」。

夜、ホテルのレストランでウェイターに愚痴をこぼした。
「キリマンジャロにきたのにキリマンジャロが飲めないってどういうことよ」
ウェイターは言った。
「日本に戻れよ。日本に輸出してるんだから」。
ネスカフェはやっぱりネスカフェの味がした。


Dai@タンザニア、モシ

エッセイ3 アフリカ時間
エッセイ1 昔昔の彼女の物語
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